【東北新幹線】4月14日に全線運転再開。過去の地震事例から復旧作業期間について考察。

2022年3月16日に発生した地震のため、東北新幹線は一部区間で運転を見合わせていましたが、4月14日より全線で運転を再開しました。

※4月2日に郡山〜福島の運転を再開しました。
※4月4日に仙台〜一ノ関の運転を再開しました。
※4月14日に福島~仙台が復旧し、全線での運転を再開しました。

過去の事例から、復旧期間について考察しました。


(初回投稿:2022年3月20日,最終更新:2022年4月14日)

本記事は個人の独自研究により記述したものであり、正確な情報についてはJR東日本からの公式発表を参照ください。

JR東日本 公式発表
JR東日本-ニュースリリース

・2022年4月5日発表
東北新幹線全線運転再開について

・2022年3月21日発表
福島県沖で発生した地震による東北新幹線の被災概要と3月22日以降の運転計画について

・2022年3月18日発表
福島県沖で発生した地震による東北新幹線の被災確認状況について

最新の情報 4月14日時点

4月14日に福島~仙台が復旧し、全線での運転を再開しました。

なお、郡山~一ノ関の区間で徐行(速度を落として走行)が必要となるため、当面は臨時ダイヤでの運転となります。

臨時ダイヤ
下り:4/14以降の東北・山形・秋田・北海道新幹線臨時時刻表(HTML形式)
上り:4/14以降の東北・山形・秋田・北海道新幹線臨時時刻表(HTML形式)

臨時ダイヤでは通常の8~9割の運転本数となり、所要時間は通常時に比べて東京~仙台で30分程度増、東京~盛岡で60分程度増となります。

復旧の経過
・那須塩原〜郡山 3月22日に運転再開
・郡山〜福島 4月2日に運転再開
・福島〜仙台 4月14日に運転再開
・仙台〜一ノ関 4月4日に運転再開
・一ノ関〜盛岡 3月22日に運転再開

脱線車両の撤去
3月20日より脱線した車両の撤去作業に着手し、2週間程度をかけて17両編成すべてを移動させました。

撤去作業は1両ずつ切り放したうえで、ジャッキにより持ち上げてレールの上へ戻す形で、3月25日までに9両をレール上へ戻す作業が完了しています。

・2022年3月25日 JR東日本公式発表
東北新幹線の脱線車両の概要と復旧作業について

・3月20日 時事通信社
地震で脱線、撤去に着手 東北新幹線、作業に2週間―JR東

なお、電気設備、高架構築物、レールなど地上設備の損傷については、合計で約1000箇所が確認されました。

後の項目で述べますが、地上設備の損傷が1000箇所というのは、2011年に発生した東日本大震災の本震と同等の件数になります。


↑今回被災したH5系と同一設計のE5系(2013年7月 新青森駅)

過去事例:2004年 新潟県中越地震「とき325号」脱線

2004年10月23日に発生した新潟県中越地震の際に脱線した「とき325号」は、10両編成のうち8両が脱線し、事故車両の撤去完了は11月18日でした。

このときは余震が発生して作業を中断しながら撤去を進めたため時間を要し、25日間かかっています。

事故車両の撤去後に破断したレールや電気設備等の補修を行い、運転再開は12月28日と、地震発生から約2ヵ月後になりました。


↑脱線した「とき325号」と同型の200系リニューアル車(2002年9月 新潟駅)

過去事例:2011年 東日本大震災 電気設備被災

2011年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)においては、脱線した列車は発生しなかったものの、電気設備を中心に大きな被害を受けて、長期間の運転見合せとなりました。

このときは那須塩原~仙台間において電柱や高架橋など約660カ所が損傷し、復旧には49日間を要しました。
(この区間以外でも多数の損傷が生じ、東北新幹線全体では1200カ所とのことです。)

また、那須塩原以北において復旧作業を継続していた4月7日に大きな余震が発生し、那須塩原~仙台において約190カ所が再度損傷し、その復旧に18日間を要し、那須塩原~仙台の運転再開は4月25日となりました。

過去の地震規模との比較

東日本大震災、その余震と、今回の地震の規模を比較します。

・2011年3月11日 東日本大震災 本震
宮城県沖 M9.0 深さ約20km 最大震度7

・2011年4月7日 東日本大震災 余震
宮城県沖 M7.4 深さ約40km 最大震度6強

・2022年3月16日 今回の地震
福島県沖 M7.4 深さ約57km 最大深度6強

これらを見比べると、今回の福島県沖を震源とする地震は、2011年4月7日に発生した東日本大震災余震と同等の規模であることが分かります。

東北新幹線の地上設備が受けたダメージもこのときと同等であると考えられることから、「復旧に要した日数が18日間」という点が参考になります。

ただし2011年の発災時は、3月11日の本震被害の復旧のため、すでに復旧工事を全力で行う体制をとっていた最中に4月7日の余震が起たことから、「18日で復旧」というのはかなり速いペースと推定されます。

今回は事故車両の移設と並行して、まずは地上設備の「被災状況の把握」を行い「復旧体制の確立」してから作業に本格着手することになるため、復旧作業に最大で1ヵ月程度かかる可能性もあるとみています。

その場合の運転再開時期は4月16日頃となります。
結果的に、運転再開は4月14日となりました。

さらに脱線事故によって損傷したレールなどについては、事故車両の移設が完了しないと復旧作業に着手できないことも考慮すると、さらに1週間程度の余裕を見込んで、運転再開時期は4月23日頃(4月下旬の4/21~28頃)となるのではないかという予測をしていました。

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