〈JAL〉コロナ需要減のため羽田路線に小型機エンブラエルE190を使用(2020年4月)

新型コロナウイルスの影響により、日本国内および国際線の航空需要は非常に落ち込んでおり、利用者数は前年比10%台であるとの報道もなされています。

JALでは3月から国内線各路線の減便をしていますが、4月中旬からは機材の小型化も多くみられるようになりました。

その中でも特に注目されるのが、エンブラエルE190という定員100名弱の機材で運航される便で、こちらはJAL最強幹線(?)の羽田-伊丹にも投入されています。

どの行先・どの時間帯の便がE190で運航されているのかをまとめました。

なお、コロナウイルスに関する対応は日々状況の変化があり、実際は下記のとおりに運航されない場合があります。最新の情報はJALのHPにてご確認ください。

定員95名のE190とは

JALには様々な機材が在籍していますが、地方路線向けのジェット機としてエンブラエル製のE190という機材があります。通常は羽田-山形、伊丹-但馬、鹿児島-奄美大島といった路線で使用されています。

E190の座席配置は2-2で、前方にはクラスJも設定されています。
大型機材のB777だと座席配置が3-4-3なので、E190はかなり小ぶりな機材です。


↑大型機材のB777-200、機内は3-4-3列配置。


↑小型ジェット機どうしの比較、E170とB737-800(スカイマーク)。

※イメージとしてE170(定員76名)との比較を掲載しています。

羽田発着E190運航便まとめ(4/20~30運航分)

羽田発着に限定してE190で運航される便をすべて調べ上げました。
哀しいことに運休便が非常に多いため、空席検索から簡単に確認することができました。。

便名欄に「機材E90 J-AIR運航」と記載されているのがE190で運航される便になります。

羽田12:30-14:15女満別 JAL567
 女満別15:05-16:55羽田 JAL564

羽田09:55-11:10青森 JAL143
羽田15:30-16:45青森 JAL147
 青森11:55-13:15羽田 JAL144
 青森17:35-18:50羽田 JAL148

羽田13:55-15:15三沢 JAL157
 三沢15:00-16:20羽田 JAL156

羽田15:10-16:15秋田 JAL165
 秋田17:05-18:15羽田 JAL166

羽田17:30-18:30山形 JAL179
 山形19:20-20:25羽田 JAL178
  ※山形線は元々J-AIR運航の設定あり

羽田12:30-13:35伊丹 JAL117
羽田18:00-19:05伊丹 JAL133
 伊丹07:10-08:15羽田 JAL102
 伊丹14:30-15:40羽田 JAL120

羽田10:25-11:40南紀白浜 JAL215
 南紀白浜12:10-13:20羽田 JAL214
  ※南紀白浜線は元々J-AIR運航の設定あり

羽田10:15-11:40出雲 JAL279
 出雲12:20-13:40羽田 JAL280

羽田11:40-13:30宮崎 JAL691
 宮崎14:15-16:00羽田 JAL694

羽田12:00-14:20奄美大島 JAL659
 奄美大島15:05-17:10羽田 JAL658

より小さなプロペラ機ではなくE190が投入される理由

JAL(系列)には定員50名程度のプロペラ機というものも在籍していますが、今回の需要減に伴う運航には投入されていません。


↑JAL系列のRAC(琉球エアコミューター)のDHC8-Q400CC、定員は50名。

これは「プロペラ機とジェット機の速度差、高度差」によると考えられます。

ジェット機であるE190は巡航速度800km/hであるのに対し、プロペラ機であるDHC8-Q400CCは巡航速度667km/hとなっており、ダイヤを変えずに投入してしまうと遅れが生じることになります。

ダイヤを変えるためには国土交通省への届出が必要であり、コロナのような状況下であっても「明日から15分遅れで行きます、ハイ認可」というわけにはいきません。

また、プロペラ機は巡航高度が低く、通常飛ばない路線にやたらと投入してしまうと管制上の不都合も生じるのではないかと考えられます。

一方ANAはプロペラ機を投入しました。

なぜJ-AIR運航便が多く運航される形となったか(推定)

JAL本体が保有するジェット機として最も小さな機材はB737-800で、定員は165名です。

少しでも小さな機材で運航したほうが燃料の節約にもなりますが、E190はJ-AIRの乗務員にて運航しているため「明日からしばらく羽田へ飛んで」のお願い一言で移管することはできず、J-AIRとの精算調整や乗務員手配が必要となります。

それでも現況のようにE190をJ-AIR運航で多数飛ばしているのは「飛ばないことになった乗務員の勤務振替」の都合ではないかと考えています。

報道等によれば、JALの(主に大型機材を担当していた)乗務員は、運休の多発に伴い地上訓練に勤務を振替えているとのことです。この地上訓練が、J-AIRでは設備の都合でうまく組むことができない等により、有事の際も一定数のフライトを確保するとJALとの間で取り決めがあるのではないでしょうか?

フライトが消滅してしまった場合の乗務手当についても、小規模なJ-AIRはJAL本体に比べて保障体制が厳しいのではないかと考えられるので、

・JAL「少しでも小さい機材で飛ばしてムダを減らしたい」
・J-AIR「少しでもフライト数を確保して乗務員の勤務を確保したい」

といった形で両社の利害が一致したと考えれば、J-AIRによるE190運航が多発していることに納得できます。
 
(4月29日追記)
4/27頃より「ソーシャルディスタンス」の確保を目的として、2列の座席においては通路側、3列の座席においては「真ん中の席」を予めブロックし、予約できないようにする措置がとられました。

この措置の実施、および需要動向の変動により、運休・欠航・使用機材が一部変更となりました。上記の運航便一覧は、4/20時点における4/20~30の運航計画であり、実際の運航状況とは一致しないことがあります。

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