根室本線分断へ・富良野~新得が廃止。ラストランは臨時ダイヤで運行(2024年3月31日)

根室本線は滝川駅から富良野・新得・釧路を経由して根室駅まで至る、総延長443.8kmの幹線路線です。

この長大幹線路線が、2024年3月31日をもって一部区間が廃止されて分断されることになりました。

廃止区間は富良野~新得の81.7kmで、途中駅の7駅(落合・幾寅・東鹿越・金山・下金山・山部・布部)が同日付けで廃止となります。

廃止区間・2024年3月16日からの臨時ダイヤ

2024年3月16日のダイヤ改正から、最終日となる3月31日までの間は以下の臨時ダイヤにて運行されます。

廃止直前に訪れるファンが増えることを見込んで、昼間の明るい時間帯に1往復増便となっています。

・下り:富良野(根室本線)東鹿越(代行バス)新得
富良野07:18→08:02東鹿越08:07→09:15新得
富良野11:05→11:50東鹿越12:05→13:14新得 ※増便
富良野14:38→15:22東鹿越15:27→16:35新得
富良野16:51→17:35東鹿越17:40→18:49新得
富良野19:09→19:53東鹿越19:58→20:58新得

※下り1本のみ設定されていた「快速狩勝」は名称廃止となり、普通列車に変更されました。

・上り:新得・落合(代行バス)東鹿越(根室本線)富良野
落合06:02→06:22東鹿越06:30→07:09富良野
新得08:03→09:11東鹿越09:19→09:58富良野
新得10:45→11:53東鹿越12:10→12:51富良野 ※増便
新得14:12→15:19東鹿越15:43→16:22富良野
新得16:21→17:29東鹿越18:00→18:43富良野
新得18:37→19:46東鹿越20:20→21:02富良野

根室本線の構成と廃止区間

全長400kmを超える根室本線は、かつては札幌地区から道東へのメインルートとして栄えていましたが、1981年に石勝線が開通して以後は区間によって役割が代わり、

・滝川~富良野~(上落合信号場)新得:地域輸送
・新得~釧路~根室:特急列車が運転される幹線

という形になりました。

※上落合信号場は石勝線との分岐点で、上落合~新得は石勝線と線路を共用しています。
※これ以降、上落合信号場を「上落合」と表記します。

今回の一部区間廃止の発端となったのは2016年8月に発生した台風被害で、東鹿越~上落合はバス代行輸送となりました。

もしも台風災害がなければ、東鹿越駅は利用低迷を理由に2017年春のダイヤ改正時に廃止されるはずだったのですが、バス代行輸送との乗り換え駅(交通要衝)という新たな役目を担うこととなりました。

さて、被災した区間の復旧には約10億円がかかるとされ、仮に復旧させてもJR北海道から「当社単独では維持することが困難な線区」に指定されていたことから、復旧という選択肢はとられませんでした。

[JR北海道公式HP]

したがって2024年3月31日をもって東鹿越~上落合が廃止になる…と思いきや、台風災害以前に一体となって運営されていた富良野~東鹿越も(巻き添えを喰らう形で)同時に廃止されることとなってしまいました。

2023年時点の運転状況

2024年3月ダイヤ改正前の時点で、地域輸送を担う区間の運転状況は

・滝川~富良野  9往復(※1)
・富良野~東鹿越 4.5往復【今回廃止区間】
・東鹿越~新得  5往復(※2)【現在バス代行・今回廃止区間】

(※1)朝1本は芦別→滝川の区間便
(※2)朝1本は落合→東鹿越の区間便

となっていました。

朝だけ市街地向けの区間便が設定されているのは、周辺地域から滝川・富良野にある学校への通学を考慮したものでしょうか。

廃止直前の運転時刻は以下のとおりでした。

※2024年3月15日までのダイヤです。

・下り:富良野(根室本線)東鹿越(代行バス)新得
富良野07:17→08:01東鹿越08:06→09:14新得
富良野14:14→14:59東鹿越15:13→16:21新得
富良野16:48→17:32東鹿越17:37→18:46新得
富良野19:02→19:48東鹿越19:54→20:54新得 ※快速「狩勝」

・上り:新得・落合(代行バス)東鹿越(根室本線)富良野
落合06:08→06:28東鹿越06:36→07:17富良野
新得08:00→09:08東鹿越09:16→09:55富良野
新得13:57→15:04東鹿越15:12→15:51富良野
新得16:21→17:29東鹿越17:42→18:22富良野
新得18:37→19:46東鹿越19:57→20:36富良野 ※快速列車

廃止区間乗車記(新得→東鹿越→富良野)

2022年1月に、上りの「新得13:57→15:04東鹿越15:12→15:51富良野」のスジにて、代行バスに乗車して東鹿越駅を訪問しました。

根室本線と石勝線の分岐点は「上落合信号場」ですが、信号場での乗降・乗換えはできないため、駅としては新得で分岐する形になっています。

2022年1月当時は、まだ道東地区でキハ40形が活躍していました。

新得駅の構内は交通要衝として充実しており、きっぷうりば・自動券売機・蕎麦屋などがあります。

この蕎麦屋はどこの駅にもあるようなエキナカ立ち食い蕎麦…というわけではなく、新得は蕎麦の街!ということでとてもおいしいので、ぜひ利用したいところです。

駅の発車案内に東鹿越行の代行バスも表示されていました。

この代行バスの運行は「ふらのバス」が受託しており、新得と落合の間にある「サホロリゾート」の利用客が新得駅からのシャトルバスとして乗車する際は運賃不要となっています。

代行バスの乗客は新得13:32着の上り特急おおぞら6号から数名、13:47着の下り特急おおぞら5号からも数名、他の手段で新得に来たひとが数名といった感じで13:57に発車しました。

代行バス区間41.5kmのなかでは新得~落合の駅間が最も長く、28.1kmもあります。

新得~上落合は石勝線の列車が走っているので、鉄道に並行して延々と30km弱をバスで代行するのは、なんともいえない歯がゆさがあるのですが、上落合信号場はトンネルのなかにあるため旅客の乗降はもちろん、周辺にバスを発着させる場所も無い山のなかなので、代行バスを新得駅発着で設定せざるを得ない形です。

バスで一般道を40kmも走るとなると遅延が気になるところですが、北海道の国道なのでほぼ法定速度どおりに走行できるうえ、サホロリゾートでの降車向けに余裕を含めてダイヤ設定しているようでした。

根室本線・石勝線の線路は、新得から上落合に向かって標高をかせぐために大きく”U字”を描くように南側へ遠回りし、バスが走行する国道38号線は”逆U字”を描くように北側へ遠回りして狩勝峠へ向かうため、しばらく線路とは離れる形になります。

雪景色の狩勝峠を越えると、14:45に落合駅に到着です。
新得駅からの1駅に50分弱かかりました。。

落合駅を出ると、スキー場を横目に進んでいき、幌舞駅…ではなく幾寅駅に14:56に到着です。

幾寅駅は映画「鉄道員」のロケ地として、幌舞駅という架空の設定で使用されました。

その当時の姿を保存する形で展示されているため、一見すると「幾寅」という表記は見当たりません。

この日は幾寅で地元のかたが1名降車しました。

幾寅駅からは国道38号から外れ、町道幾寅鹿越線を通って15:04に東鹿越駅に到着です。

代行バスの到着から数分で、富良野からの普通列車が到着し、東鹿越駅構内に下り方向・上り方向双方の乗客が降り立つ形になり、元々は廃止予定であった「東鹿越駅」が一瞬の賑わいを見せます。

この日は富良野→東鹿越→新得の下り方向で乗車するひとのほうが多かったように見え、東鹿越駅前に停まっている代行バスに乗り込んでいきました。

東鹿越駅の周辺は、湖と工場がある程度で「特にめぼしいものはない」のですが、単行(1両編成)のキハ40系がカラカラとエンジン音を鳴らしてちょこんと佇む雰囲気がとても良かったです。

東鹿越駅の上落合方(幾寅方)の線路はまだ残っていますが、除雪はされていませんでした。

2022年1月時点で台風災害から5年以上経っていたこともあり、東鹿越で折り返す列車用のサボ(行先表示)もきちんと用意されていました。

さて、東鹿越駅を15:12に発車した列車は、金山・下金山と、かなやま湖の西側を進んでいきます。
この区間は国道38号線から離れており、民家も見当たらず、人間の地域社会よりもエゾシカなどの野生動物のほうが栄えているようなエリアでした。
(実際に、シカが線路内に侵入して停車する場面がありました。)

バス代行区間と合わせてこのあたりの区間も2024年3月31日をもって廃止となるため、金山・下金山・山部・布部の各駅も廃止となります。

山部駅のあたりからは周辺が住宅地となり、そこから15分ほどで富良野駅に15:51に到着です。
この列車は滝川まで直通で運転されるため、終点の滝川まで乗車しました。

幾寅駅(幌舞駅)も廃止

comming soon…

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