立山黒部アルペンルート・営業終了が迫る関電トンネルトロリーバス

2018年シーズンをもって「関電トンネルトロリーバス」が無軌条電車としての運行を終了し、電気バスに変更するとのことで立山黒部アルペンルートへ行ってきました。

立山黒部アルペンルートとは、富山県の立山駅から長野県の扇沢駅までの「乗継ぎルート」のことで、通り抜けるだけでも大自然を満喫できるコースになっています。

立山駅-美女平  立山ケーブルカー
美女平-室堂   立山高原バス
室堂-大観峰   立山トンネルトロリーバス
大観峰-黒部平  立山ロープウェイ
黒部平-黒部湖  黒部ケーブルカー
黒部湖~黒部ダム 徒歩
黒部ダム-扇沢駅 関電トンネルトロリーバス

直線距離は25kmほどですが、最大高低差は1975m、総延長は37.2kmです。

立山駅~黒部湖の各乗り物は立山黒部貫光が運営しています。
立山黒部「観光」ではなく「貫光」とするのがなかなかイケてますw

黒部ダム~扇沢の関電トンネルトロリーバスは関西電力による運営で、黒部ダム~黒部川第四発電所の黒部トンネルと接続されています。

黒部川第四発電所方面へは関係者専用となりますが、見学会に応募して当選すると黒部ダム~黒部川第四発電所~欅平のルートで体験通過することが可能です。

アルペンルートをなるべく混雑に巻き込まれず1日で乗り通すべく調べてみると、

・混雑時は当日中に乗り通せないことがあるとの情報 (→早めに出たほうが良い?)
・公式HPの混雑予想では立山駅11:30頃から落ち着く (→あまり早いのも微妙?)
・平日なのでそれほど混まない…だろう (→希望的観測、だろう運転)
・何にしても朝はゆっくりしたいじゃないか

ということで、立山駅を12時台スタートになるようゆっくり出発にしましたw

地鉄富山1056-1159立山 富山地鉄 モハ14762
運賃がお高めの設定で、立山まで1200円。専用ICカードだと約1割引になります。
富山地鉄の車両は上3ケタが電動機出力(PS)なので、形式は14760形だろう…と思ってggってみると、偶数号車は14762形と呼称するとのこと。近鉄もビックリの刻みっぷりw

車内は転換クロスシートで座り心地は大変良し。
1両目は途中で降りるふう・2両目は立山まで行きそうな客で適度に埋まり。
月曜の午前中ですが、途中で高校生がパラパラ乗ってきて岩峅寺で降りていきました。


↑岩峅寺で上滝線と合流。
 上滝線から立山方面への定期列車はなく、この僅かな部分は乗りつぶし不可な区間です。


↑岩峅寺を過ぎると急に山風景に変わります。有峰口手前の鉄橋からの風景。


↑元・西武特急レッドアロー。立山への往路は特急アルペンとして運行です。

最後の1区間が長く、立山に到着。立山で降りたのは20名ほどでした。


↑とても雰囲気の良い駅です。

立山駅ではまず、webで予約した切符を引き換えます。
一旦コンコース外に出て、発券窓口へ。窓口混雑はなくすぐに受取り。

今回予約したのは「平日割WEBきっぷ」立山駅→扇沢で7480円です。
なお当日券の「通り抜けきっぷ」立山駅→扇沢は8290円です。

窓口では立山ケーブルカーの時間指定が必要で、直近の1220発を選択。
アルペンルートの入口となる立山駅構内で待ち人があふれないよう、ここでコントロールしているようです。なお公式HPによると、満車となる場合は臨時便対応するとのこと。


↑時間指定が必要との案内表示もあります

改札では一般・団体と列が分かれていますが、団体向けに単発の臨時便を出すというわけではなく。今回はアジア系の団体と相乗りになりましたが、静かな団体で助かりましたv

立山1220-1227美女平 立山ケーブルカー
ケーブルカーの乗りつぶしというと、何かと満員乗車になることが多いです。
終盤はかなりの急勾配を上って美女平に到着。


↑混雑していると写真撮影もひと苦労w

美女平1233-1315室堂 立山高原バス(臨時直行)
この区間のバスは途中に停留所があるため、一般定期便+室堂直行便の2台態勢で運行されます。さらに団体客がいる場合などは臨時直行便を適宜出しており、ちょうど臨時便に乗車。

元々は12:40発の直行便の予定で、室堂のレストランでラストオーダーにギリギリ間に合わないはずだったのですが、臨時便のおかげで利用の可能性が発生。

バスは出発直後から勢いよく九十九折れコースで車酔いの不安が生じましたが、意外と大丈夫でした。ちなみに、左側のほうが見どころ車窓が多かったです。

対向車は「臨時4+直行1+定期1」や「臨時1+直行1+定期1」など状況に応じて増車していて、こういった柔軟性はバスの強みですね。
そして室堂は標高2450mということで、バスを降りるととても寒かったですw

室堂ターミナルではレストランとカフェを覗いてみましたが、かなりの混雑で利用は断念。
また、室堂ターミナル内に富山発・長野発の客が入り乱れて全体的に混雑していました。


↑続いてトロリーバスへ、また臨時便。
 各乗り物で共通の表示機で時刻案内があり、とても分かりやすいです。

室堂1330-1340大観峰 立山トンネルトロリーバス(臨時)
臨時を含めて15分間隔で、バスは3台体制。
お好きな車にご乗車くださいとのことで、最も人気がなさそうな3台目へ。
ちょうど座席が埋まってしまいましたが、前方が見える良い位置取りで乗車。
走行時間はわずか10分なので、前方立席のほうが良いかもしれません。

トロリーバスは無軌条電車といって、見た目はバスですが、架線から供給する電気で動き、鉄道事業法のもと運営される「電車」なのであります。

運転席の計器類、動き出しの感じなどで高まる電車感w
中間地点で対向車列と行き違いになるのですが…


↑場内警戒!

近隣の一般客からは「ふつうのバスだね」との声が聞こえてきましたが、ヲタ視点で見ると設備や運転取扱方が全然ふつうではありませんw

大観峰では岩場に降車場があり通路が狭いため、降りたあとは係員の誘導に従い速やかに出口へ向かうように…との案内。3台目が出口に近かったため、パパっと撮って退散。 
前面ショットは室堂で撮っておくと良いでしょう。 

大観峰には観光施設はありませんが、黒部ダムを見下ろす景色がきれいですv


↑大観峰にて、各方面への発車時刻案内。

大観峰1350-1357黒部平 立山ロープウェイ(臨時)
他の乗り物に比べて乗車定員が少ないことから、ロープウェイがボトルネックになる…という情報もありましたが、こちらも随時臨時便を出しているため特に問題ナシ。

臨時便である13:45の列にいたところ、さらに続行臨時を出すとのこと。
1台見送るのは許容するので、良いポジションで乗りたい」ような顔(←どんな顔だ)をしていたのが改札係員に通じたようで、続行臨時便へ案内されましたw

待機中は係員から紹介説明、そして写真集即売会があり商売上手でしたw

自然環境保護と、雪崩の恐れがあるため、途中に支柱の無いワンスパンタイプ。
紅葉シーズンなので景色がとてもきれいでしたv

さすがに14:00発のケーブルカーには乗継ぎできず、構内にて立ち食い蕎麦屋を発見。
座って食べるスペースもあり、さらに立山の天然水飲み放題とのことで入店w

山の奥までの運送費がかかるので多少値が張るのは承知の上でしたが、かけそば550円~と全然攻めていないお値段設定でした。頂いた玉子とろろ蕎麦は800円。

アルペンルートは富山⇔長野の移動手段というよりは観光に特化した交通機関ですが、こちらのお店は手頃なお値段、迅速な調理、熱すぎない温度で提供駅そばの要件をしっかり満たしていました。こういったお店があるのは素晴らしいことですv

黒部平1425-1430黒部湖 黒部ケーブルカー(臨時)
表示機には定期便のみ表示されていましたが、またまた続行臨時便の運行アリ。
今回も「1台見送るのは許容するので、良いポジションで乗りたい」ような顔で並んでいたら、ちょうど続行便への案内となり、運転席わきの良い位置に乗れましたv

※毎回「顔芸(?)でちょうど続行便に案内してもらえた」ような書きっぷりですが、実際は旅客流動を観察した上でタイミングを見定めて列に並ぶなどの事前準備をしています。
必ずしも表情や希望申告により続行便案内になるとは限りませんのでご了承くださいw


↑全線地下のケーブルカーは独特な雰囲気。


↑「臨時」が点灯。駅の様子も独特。

黒部湖~黒部ダム 徒歩600m
行く前は徒歩600mの通路とは…?と思っていましたが、黒部ダムの構築物上を歩く気持ちの良い散歩コースでしたv


↑デュエリストの集いが企画されそうな見た目(何


↑ダムの境界上を歩くため左は深い谷、右は湖面。

地下はひんやり寒かったですが、ひなたに出ると暑い。。
観光放水は毎年10月15日までとのことで、せっかくなので放水ステージへ。


↑放水は大迫力。そして往きはヨイヨイなんとやらで、戻りの上り階段がつらいw

本日のメインイベントの関電トンネルトロリーバスは混雑を想定して早めに改札へ。


↑片道16分、30分間隔ダイヤのため増発はできず定期便のみ。

15:10の時点で既に各列2名ずつ待っており、徐々に列が延びていきました。
改札の列は1・2・3と分かれていますが、これは1号車・2号車・3号車へ振り分けているわけではなく、単に改札が並列処理になっているだけでした。

前にいる人から順に1号車へ乗車し、1号車の座席が埋まると2号車へ案内、最終号車(この日は5号車)の座席が埋まると1号車の立席…という案内でした。
したがって「最前列に座りたいので or 4人固まって座りたいので、後の号車でいいです」といった希望をすることはできず、特定の位置を狙うのは非常に難しくなっています。

なお対向車列(夕方の扇沢発なのでガラガラ)では1人だけぽつんと最前列に座っている人が居たので、混雑時間帯を避ければ多少の融通はきくのかもしれません。

黒部ダム1535-1551扇沢 関電トンネルトロリーバス
トロリーバスは無軌条電車といって、見た目はバスですが、架線から供給する電気で動き、鉄道事業法のもと運営される「電車」です。

エンジン式のバスだと地下トンネルに排ガスが充満してしまうという、この地特有の事情で導入されたトロリーバス方式ですが、電気設備の維持管理都合と電気自動車の技術進歩により、2018年冬の運休期間中に電気バスへ変更されることになりました。

関電トンネルトロリーバスの営業は2018年11月30日が最後となり、無軌条電車としての営業を終了するため、関西電力は鉄道事業廃止の届出をしています。

さて、もともと紅葉シーズンは混むものなのか、ラストイヤーフィーバーなのかは不明ですが5両のバスに立客まで満載というものすごい状態で出発。
トンネル内に東芝GTOのVVVF音が響きます。

対向車列との離合ポイントを過ぎてから富山・長野県境の表示。
アルペンルートは大部分が富山県に属するのですね。

最後は屋外区間に出て扇沢へ到着。
定員72×5台=360人ということで、ドーっとたくさん降りてきましたw


↑架線柱の感じは鉄道そのもの。

対向車列は先頭車以外ガラガラだったので、単に関電トンネルトロリーバスにお名残乗車するだけなら、長野発着で黒部湖か室堂あたりまで往復したほうが良いかもしれません。
混雑時間帯でも、往復乗ればいずれかは空いていてじっくり観察できそうです。

アルペンルートを乗り通しての感想としては、美女平~室堂のバスがやや長くて微妙な区間だったのと、せっかく行くならば黒部湖・室堂でゆっくりしたほうが良いと感じました。
(1日で乗り通そうとすると、あまりゆっくりする余裕はありません)


↑ラストイヤーのオブジェ。

トロリーバスが15:51着、信濃大町行のバスは16:00発ということで9分しかないため元々期待はしていなかったのですが、券売所の列に並んでいるうちにバスは発車。
窓口が1つしか空いておらず列の進みが非常に悪く、なんのための事前発売なのやら…。
降車時収受にするなり、黒部湖の窓口へ販売委託をするなりして頂きたいものです。

なお直後に温泉郷経由の信濃大町行が出て、16:30の臨時便があるかは微妙との案内。
あまり扇沢駅構内に人があふれないよう、ある程度弾力的に対応しているようです。

ちなみに長野駅行の特急バスも信濃大町駅を経由しますが、信濃大町駅での途中下車はできない(信濃大町駅では乗車扱いのみ)なので注意が必要です。

扇沢駅1605-1638信濃大町駅 北アルプス交通バス1360
関電アメニックス北アルプス交通の担当便で、アルペンルートの乗継時刻表には表示がないものの、アルピコ交通のHPには16:00発として掲載あり。
直前に発車した便が臨時直行の信濃大町駅行、こちらが定期便なのかもしれません。

半数程度が大町温泉郷で降りて、信濃大町駅まで乗車したのは10名弱でした。

JR大糸線は本数が少なくしばらく待ち時間があるため、駅前でのんびり。
公園?のようなスペースがあり、気持ち良い気候のなかしばらく待機。


↑駅名板にアルクマがw

その後は松本で蕎麦を食べて、最終のスーパーあずさで帰りました。

こちらの記事も読まれています: