【キハ283系】特急「おおぞら」定期運用を終了(2022年3月)

特急おおぞらの一部に使用されているキハ283系気動車は、2022年春のダイヤ改正にて特急「おおぞら」の定期運用から退きました。

本記事ではキハ283系の登場から引退までを紹介します。


(初回投稿:2022年2月2日,最終更新:2022年3月12日)

キハ283系とは?

キハ283系特急形気動車は1997年に札幌-釧路を結ぶ特急スーパーおおぞらとしてデビューして63両が製造され、末期となる2022年2月には特急おおぞらの3往復に使用されていました。


↑釧路駅に到着したスーパーおおぞら。

※2020年3月のダイヤ改正にて、北海道内の特急名称から「スーパー」が外されました。

また、札幌-函館を結ぶ特急スーパー北斗の一部列車や、札幌-帯広を結ぶスーパーとかちの一部列車にも用いられました。


↑特急「スーパー北斗」として函館に停車中のキハ283系(2009年)。青函連絡特急の485系「白鳥」と並ぶこともありました(2012年)。


↑スーパーとかちとして運転する際は、普通車のみの編成にて(2009年)。

スーパー北斗の輸送力増強のために、キハ281系の基本編成にキハ283系が増結される列車もあり、キハ281系とキハ283系では性能が異なることから、キハ283系がキハ281系に合わせるような制御がなされていました。

キハ283系は、キハ281系よりも強化された振り子機能により、曲線の多い石勝線・根室本線の高速化に貢献し、札幌-釧路間を3時間30分台で運転する列車もありました。


↑先頭車のFURICOロゴ。


↑乗降口は特徴的なデザインのプラグ式ドア。

2001年には札幌-釧路間の全ての特急列車をキハ283系「スーパーおおぞら」化し、全列車が3時間台で運転されていました。
(※夜行列車「まりも」を除く)

さらに、特急スーパーおおぞらは繁忙期には多くの利用客があり、所定の6両編成に3両を増結した9両編成としたり、予備の先頭車を連ねて増結することが常態化しており、”道東”のスターとして活躍していました。


↑キハ283系は車内表示器に走行位置が表示され、座席には道東を代表する車両らしく丹頂鶴があしらわれました。この柄の座席は2022年現在も一部の自由席車両に残存しています。

そんな”道東のスター”であったキハ283系でしたが、2011年5月27日に発生した石勝線(清風山信号場)列車脱線火災事故以後は、徐々に風向きが変わっていきます。

脱線事故当該車の6両が全焼して廃車となり、その後もキハ283系に車両トラブルが頻発したことから、2013年に車両への負荷を軽減させる目的で最高速度が時速130キロから時速110キロへ改められました。その時のダイヤ改正により札幌-釧路の所要時間は4時間台となります。

その後のキハ283系は、「スーパー北斗」や「スーパーとかち」の運用からは撤退し、「スーパーおおぞら」と一部の臨時特急にのみ用いられるようになります。


↑札幌雪まつりの繁忙期に合わせて運行された臨時「北斗85号」、東室蘭駅にて。

そして2020年3月のダイヤ改正にて(スーパー)おおぞらの半数にキハ261系1000番台が導入され、キハ283系の経年廃車が始まり、その2年後の2022年3月のダイヤ改正にてキハ283系の定期運用が終了となりました。

来春のダイヤ見直しについて(北海道旅客鉄道)

キハ283系活躍の記録

キハ283系(スーパー)おおぞら活躍の記録を紹介します。


↑大雪の札幌駅に到着するおおぞら4号と、深夜に到着するおおぞら12号。


↑苗穂の引上線へ入るおおぞら4号(回送)と、通過するおおぞら6号。


↑苗穂にて、札幌での折返しの合間に小休止。


↑白石を通過するおおぞら6号。


↑上野幌を通過するおおぞら7号。


↑釧路にて発車を待つおおぞら6号。

キハ283系 末期の車両運用

2022年3月のダイヤ改正前まで、キハ283系は3往復の特急おおぞらに使用されていました。

2つの編成(A・B)がそれぞれ札幌~釧路間を1往復半ずつ走る形であり、時刻と所要時間は以下のとおりでした。

(A)
札幌(4)06:48-10:58釧路 おおぞら1号 4時間10分
釧路11:24-15:38札幌(4) おおぞら6号 4時間14分
札幌(5)17:29-21:59釧路 おおぞら9号 4時間30分

(B)
釧路08:21-12:23札幌(5) おおぞら4号 4時間02分
札幌(5)14:15-18:39釧路 おおぞら7号 4時間24分
釧路18:59-22:58札幌(6) おおぞら12号 3時間59分

※札幌の(カッコ)表記は着発番線

所要時間は列車によって大きくバラつきがあり、最速は上り「おおぞら12号」の3時間59分、最も遅いのは「おおぞら9号」の4時間30分でした。

“兄弟”キハ281系との並び

キハ283系の”兄弟”にあたるキハ281系は特急北斗に使用されており、2022年2月現在のダイヤではキハ281系・キハ283系が並ぶ様子を1日2回見ることができました。

苗穂駅 13:50頃

苗穂駅の引上線におおぞら7号に使用する車両が止まっている最中に、札幌行の北斗7号がすぐ横を通過して一瞬だけ並ぶ様子が見られました。


↑おおぞら7号待機中のキハ283系と、北斗7号キハ281系。

札幌駅 14:01~14:05頃

札幌駅の4・5番線にて、おおぞら7号が入線する14:01から、北斗7号(回送)が発車する14:05頃まで、並ぶ様子が見られました。

北斗7号 札幌(4)13:52着~14:05頃に回送発車
おおぞら7号 札幌(5)14:01入線~14:15発車

この、おおぞら7号が入線してから北斗(回送)が出るまでの数分間、札幌駅の4番線・5番線で並ぶ姿を見ることができます。


↑並ぶのはわずか数分間。

キハ283系の後継となるのはキハ261系

キハ283系の後継となるのは、以前から特急とかちとしても使用されていたキハ261系1000番台です。

キハ261系1000番台は、2006年に登場して特急「スーパーとかち」に投入された車両であり、「新型車両」感はあまりありませんが、車両を維持管理する上でコストパフォーマンスやメンテナンス性が良いようで、スーパー北斗にも投入されるなどJR北海道の標準的な特急型気動車としての地位を確立しています。


↑おおぞらとして使用されるキハ261系1000番台。


キハ261系1000番台には振り子機能がなく、当初は搭載されていた車体傾斜装置も使用停止となっているため、曲線の通過速度こそキハ283系に劣りますが、総合的な性能が向上することで、特急おおぞらの所要時間は大きくは変わらないとのことです。

2022年3月12日のダイヤ改正後も、札幌~釧路間の最速列車はキハ261系で運転される「おおぞら12号」で、所要時間は従来と変わらず3時間59分となっています。

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