JR北海道の普通列車として、道内各線どこでも見ることができたキハ40形(通称ヨンマル)は、老朽化により徐々にその数を減らしており、2024年度末(2025年春)までに定期運用からすべて引退すると報道されています。
今回、2024年3月16日のダイヤ改正において石北本線と釧網本線からキハ40形が姿を消すこととなりました。
2024年2月時点の運用線区
2024年2月時点で、北海道内でキハ40系が定期運用されているのは以下の線区です。
・函館本線(函館地区)
函館~森~長万部
・函館本線(札幌・旭川地区)
札幌~岩見沢~滝川~旭川 ※1
・室蘭本線
糸井~苫小牧~追分~岩見沢
・日高本線
苫小牧~鵡川
・千歳線および石勝線
千歳~南千歳~追分~新夕張
・根室本線
滝川~富良野~東鹿越 ※2 ※3
・石北本線
旭川~上川~遠軽~北見~網走 ※4 【2024年春で終了】
・釧網本線
網走~知床斜里~緑 【2024年春で終了】
・宗谷本線
旭川~音威子府 ※5
※1 函館本線 札幌→岩見沢の下りは早朝1本のみ
岩見沢→札幌の上りは回送列車のみ
※2 根室本線 東鹿越~新得は台風被災のためバス代行輸送
※3 根室本線 新得~釧路~根室は2022年春で終了済
※4 石北本線 旭川→上川の下りは回送列車のみ
※5 宗谷本線 毎日運転の定期運用は無し
キハ54形が検査等で不足する際の代走として高頻度で使用される模様
2024春・石北本線と釧網本線から撤退
2024年3月16日のダイヤ改正にて、石北本線および釧網本線においてキハ40形の定期運行が終了します。
石北本線には上川~白滝の峠越え区間など、キハ40形にとっては厳しい環境であり、新型車両H100型に統一されることで運行の安定性強化と所要時間の短縮が図られます。
また、釧網本線で使用されるキハ40形は旭川運転所に所属しており、キハ40形の石北本線での定期運用がなくなることから、旭川から網走へ送り込むことができなくなるため、釧網本線からも撤退する形となります。
乗車記:石北本線 キハ40形普通列車
時期:2022年1月
区間:旭川09:19→10:27上川11:10→12:41遠軽
旭川から上川まではキハ40形2両編成での運行で、1両目は標準色・2両目は宗谷線急行復刻色でした。
ホーム向かい側には宗谷本線永山行(H100形)が停車中です。
この頃すでに宗谷本線は多くがH100形、残りがキハ54形での運行となっていました。
さて、少々遅延している旭川9:14着の特急ライラックから接続を受けてから発車。
ボックスシートが並ぶ様子が「ザ・キハ40」で良いですね。
旭川周辺は高架線で市街地が広がっていますが、徐々に民家もまばらになり、「伊香牛(イカウシ)」あたりから山景色になっていきます。
上川までは1時間強で到着。
ザ・冬の北海道の景色です。
到着した列車がそのまま列車番号を変えるだけで遠軽行に化けるのかな?と思っていたら、別の編成に乗り換えとなりました。
上川からは3両編成で、1両目が「道北流氷の恵み」・2両目および3両目が標準色です。
3両目は回送車のためドアが締め切られています。
1両目の「道北流氷の恵み」は外装に加えて車内もリニューアルされており、木製テーブルが設置されていました。
この時は「”キハ40″をより強く体感できるように」と思い、標準色の2両目に乗車しました。
まだ石北本線からキハ40形が撤退する気配が全くない頃だったことと、真冬の平日昼間ということで乗客は少なく、1両目に5名ほど、2両目に2名でした。
閑散区間の普通列車には7名の乗客のほか、改札口でないところから地域ボランティアのような見た目の集団数名が1両目に乗車してきて発車。
上川から隣の白滝までは37.3kmもあり普通列車で49分もかかる峠越えの区間で、かつては途中に駅や仮乗降場が複数ありましたが、利用客がほぼなく信号場化されたり廃止されてしまいました。
キハ40形はこの峠道をウンウン唸りながら低速で上っていきます。
11:27に中越信号場をゆっくりと通過…と思ったら停車して、乗務員室から乗降がありました。
どうも上川から信号場へ除雪作業員を送り込んでいるようです。
このあたりでは着席していても肌で感じるくらいの登り勾配で、雪景色のなか坂の途中でいったん止まってしまっては再起動できなくなるのでは…?と心配になるくらいです。
続いて11:45に上越信号場に停車し、ここでも除雪作業員が交代していました。
普通列車で峠を越えようという旅客需要こそ非常に限定的で見るからに赤字運営ですが、石北本線の維持管理のために必要な役割を担っていました。
上越信号場には「石狩北見国境標高634m上越駅」との看板がありました。
(※1975年までは駅として営業していました)
上越の少し先が峠の最高点で、4000m超の石北トンネルに入ると下り坂にって速度が上がっていき、エンジンはほぼアイドリング状態で時速55キロくらいで走行します。
11:55に奥白滝信号場を通過すると山から平地に変わり、民家がチラホラと見られました。
2016年3月に廃止された上白滝駅は1面1線かつ駅舎が解体済のため跡地は分からず、12:03に白滝駅に到着しました。
上川~白滝の乗車風景はダイジェスト版を動画でも公開しています。
中越信号場と上越信号場で乗り込んできた作業員は白滝で降りたように見え、上川に彼らの待機所があるのだとすると、白滝で上り特別快速きたみに乗り換えるのでしょうか?
このあたりは「白滝シリーズ」とも呼ばれ、かつては奥白滝・上白滝・白滝・旧白滝・下白滝と駅が続いていたのですが、白滝駅以外は廃止もしくは信号場化されています。
下白滝信号場に停車して対向の特別快速きたみと行き合い、白滝地区に入ればもう山は終わり…というわけではなく、断続的に山景色になります。
上川~白滝の1区間には49分かかり、次の白滝~丸瀬布の1区間も20分かけて走ります。
丸瀬布まで来ると遠軽まではあと少しで、20分ほどで到着です。
この日は到着した3両がそのまま13:00発の網走行になるとのことでしたが、いったんドアを閉めて乗車位置に合わせるようでした。
遠軽駅はかつて名寄本線が分岐しており、石北本線はスイッチバックするような構造となっています。
駅の発車案内には「紋別・名寄方面」という文字が残っていました。
遠軽はかつての交通要衝かつ高校所在駅ということで、有人きっぷうりばや待合室がありますが、2019年までに売店やそば屋は撤退しています。
駅から雪のなかを10分弱歩いていくと跨線橋があり、遠軽駅を発着する列車を眺めることができます。
先ほどまで乗っていた車両が、13:00発の網走行として発車していきました。
つい先ほどまで晴れていましたが、いつのまにか雪で薄暗くなっていました。